住まいとしての家の構成要素 |
家を建てるときには、柱などの骨組みのまわりに壁や屋根・床などの建材を取りつけていきます。そして、その建物には欧米風や日本風などのデザインがあり、住む人が持っている価値観によって、子育てのしやすい家やハイセンスな家など間取りや内装・外装が決まります。そこでの生活が何年か経つと、家の中は家具が増えたり、模様替えされたりして、建てられた時から現在の状態へと変化。生活にも大きな変化が出てきます。住まいとしての家には、こうした建物としての構造・価値観・時間経過の三つの要因が関係しています。
文章の構成要素もこれに似ています。文章には柱のような部分があり、壁や屋根のように、それを肉付けしていくところがあります。説明的文章で物事をくわしく説明している部分、小説的文章で気持ちを描くために場面描写がされている部分が、文章の肉付けにあたります。また、家のデザインにはそこに住む人の価値観が表われます。こと文章に関しては筆者の価値観が、意見や気持ちとして読者にわかりやすいように表現されています。文章を読むときは、前から後ろへと進めながら時間が過ぎていきます。説明的文章では、「○○が原因でこのような結果になった」ということが時間を追って書かれており、小説的文章ではそれがストーリーとして記されています。
普段、本を読む時には、こうした要素まで考える必要はありません。楽しむ読書では分析的に考えると、かえって面白さが半減してしまうからです。けれども、家のことを良く知っているほうが、良い家を建てられ、より充実した建築文化を楽しめるようになるでしょう。これは文章も同じ。文章のことをよく知っているほうが、より深く文章の意味を理解できます。そして、自分で文章を書く時にも、もっと高度な構成で書くことができるようになるのです。
大学での勉強は専門書を読むことが中心ですから、入試ではこうした分析的な精読力が試されます。将来、建築家になるための「手前の勉強」と言っても良いものです。建築家は家の構造だけでなく、デザインや住む人の価値観、家族構成の変化なども考えなければ、設計することはできません。大学での専門的な勉強を履修して、卒業論文を書くためには、文章の意味を要点・価値観・論理展開から立体的に把握する。そして、自分のものとしてその知識を蓄積する必要があるのです。
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