以前、少し仕事を手伝った塾の先生に、
英語と国語を教えている凄腕の先生がいました。
公立高校の併願で、私立高校を受験する生徒約10人を集めて、
1年間の指導で、ほぼ全員をMARCHの附属以上のレベルの高校に合格させ、
早慶の附属にも3~4人は合格させていました。
国語の受験テクニックは、完璧といえるほど、
あらゆるテクニックを駆使して教えるのですが、
その先生をして、「国語は教えられない」というのが、嘆きでした。
例えば、その塾の中学受験部門は四谷大塚のカリキュラムを採用していましたが、
中学受験の定番テキスト、「予習シリーズ」をひも解いても、
「どうしたら読めるのか」という解説は皆無です。
例えば、6年のテキストの説明的文章の取り組みへの解説は、
5年のものとほぼ同じで、合計2ページが割かれていますが、
「形式段落をまとめると意味段落になる」というような内容が、
3つの形式段落が意味段落を構成している見本として載っているだけで、
どうしたら、その意味段落を読み取れるのかという説明は、
まったくと言って良いほど、見当たりません。
そして、すぐに課題に取り掛かるようにテキストが構成されています。
体験でやってみようというわけです。
丁寧に読み取るということに関しては、
「3回音読しましょう」という説明が、
問題文の前に、定番として書いてあるだけです。
国語の成績が伸びない生徒は、
そもそも「読む」ことに問題があるのですが、
その対策はカリキュラムとして組み込まれていないので、
全くの現場任せです。
カリキュラムを製作している側にとっては、
「読むことに問題がある」ということすら、俎上(そじょう)に上がることがないのです。
設問についての解答には、○×がつけられますが、
その結果をみても、「文章が理解できているから、その結果になっているのか」
ということは、判別できません。
こうしたことが、進学塾の実態なので、
ここだけは塾任せにしないで、家庭でチェックして、
「読む」練習に取り組んであげたいものです。
※ 読解練習のやり方については、これからも取り上げていきますが、
「国語のテスト攻略法」などの別記事を参照なさってください。
]]>