こんにちは。直井メソッド国語教室の直井明子です。
生徒さん達の読解指導をしていて、中学受験の国語は、一般の塾では「読み方」も「解き方」も満足に教えてもらえず、問題分は難しすぎて…で、何重苦なのだろうとよく感じます。
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しかし、最近では、
それでも、
中学受験の国語の勉強はやった方が良い
と断言できます。
母語という概念があります。普通は母国語(日本に住んでいる日本人なら日本語)が母語になります。母語というのは、考えるときに使う言葉の体系です。帰国子女の方たちも生徒さんの中にいるので、母国語による母語の形成がうまく行かないことの問題点は、よく感じることがあります。 しかし、もっと大きな母語形成の問題は、一般的な小学生が潜在的に抱えている問題です。その子の言語環境が貧しいものであればあるほど、思考に使う言語を獲得しそこなってしまうのです。表面的には、「国語ができない」という悩みとして現れます。
母語は、おもに6歳までに形成されるので、学校に上がる前には、およその枠が決まってしまいます。家庭の言語環境が貧しければ、その子が獲得する母語というのは、それに比例して貧しくなります。例えば、お母さんやお父さんのボキャブラリーが貧困であったり、会話が少なかったり、会話の内容が貧しかったり、読書の質が悪く、量が少なかったりということです。
これが、遺伝という要素が少ないと言えるのは、それでも、読書を自分から好きでやる子というのは、豊かな母語を獲得出来ているからです。
母語形成の臨界期説は、最長で13歳でした。こうしたことは、実験ができないので、あくまですべて仮説になるのですが、13歳までの獲得できなかった母語というのは、もう取り返しがつかないということです。一生、貧困な思考回路で過ごすという一見、見えにくい壁を作ってしまうのです。
つまり、母国語による思考回路という狭い母語の問題以上に、もっと広い意味での母語の優劣というのが、小学生のうちに決まってしまっているのです。
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そして、もう一つの問題が、論理的な思考力が育つのが、脳の成長上、10歳からだということです。すると論理的な思考力をベースにした母語を獲得できるのは、10歳から13歳の3~4年という短い期間だということになります。もちろん論理的な文章を書いたり、語彙を増やしたりということは、この時期を超えてからでも充分に可能です。しかし、このことに思い至ったのは、まるで呼吸をするかのように自由自在に、難しい文章を読んだり、考えることができる超優秀な人(笑)というのが、もれなく小学生の内にこうした教育を受けていたからなのです。そうでなく努力している方の文章力とは、明らかに差があるのです。
この時期が中学受験と重なるのは、ご存じのことかと思います。反抗期をむかえてからでは、家庭での取り組みはほぼ不可能になります。実質は12歳ぐらいまでが、家庭でフォローできる限界なのではないでしょうか。
質の良い国語教育を小学生のうちに、是非、与えてあげてください。
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