進学塾は必要ない?!と言い切る本

塾の営利主義の問題点や、学習内容の是非について、本の一部で問題提起する本はたまにありますが、一冊まるごと「進学塾は不要」というテーマになっている本はあまりありません。この本はそんな中でも、感情論に走ることなく、冷静に現実を分析して、その対処方法を提案しています。
進学塾不要論-中学受験は自宅でできる/認知工学
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学力に合わない課題を塾から出されて(しかも解法も教えてもらえず)、出来ないと先生に怒られるという痛ましい話をよく聞きます。そんな状態が繰り返されると、一種の精神異常の状態にまでなり、子どもたちが異常行動を取るようになります。私が怒っても、どうしようもないことで、当たり前のことですが、そこから抜け出せるのは保護者の力しかありません。そうしなければ、それは塾と保護者が結託した虐待と言っても過言ではありません。
どうしてこんなことが起きるのか。それは、市場原理に教育を任せてしまったからです。
ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)/堤 未果
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武器商人が起こした戦争に、国家の兵士ですらなく企業に派遣された傭兵という身分駆り出され、国際ルール無用の状況で心身共に傷ついたのは、アメリカでも所得の低い弱い立場の人たちでした。決してやってはならないこと、「安全保障」を市場化してしまった(ビジネスにしてしまった)アメリカで起きた出来事です。

同じことが、「教育」を市場化してしまった状況で、起こります。弱者である子供たちが犠牲になるという構図が読めてきます。ある大手塾が、家庭の教育責任を形だけ全部請け負ったときから、中学受験のエスカレートは歯止めがきかなくなりました。中学受験で燃え尽きて、詰め込み勉強のため思考力も育っておらず、中学からの勉強にすら支障が生じることがよくありますが、その責任は、楽をしたいがために、お金に頼って乗せられてしまった保護者にもあるということです。

優秀な家系に生まれていて、小学生のときはとても利発で勉強もでき、普通に勉強すれば一流大学に入学できたであろうお子さんたちが、中学受験後に変調を来たしています。失敗したと薄々気づいても、それを表面化することは、さらに傷を深くするだけ。大学受験では、想像すらしなかった学校に進学して、大きな挫折感を味わうことになります。

教育は、塾に任せて「やってもらえるもの」ではありません。家庭の自主性を取り戻すところから初めて、実りのある受験勉強の形が見えてくるようになります。

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