「国語力ピラミッド」には勉強としての国語力だけでなく、「世界標準の国語力」で取り上げたような「話したり」、「相手の言うことを理解すること」で社会を生き抜いていく力も含まれています。三角形のピラミッド全体は、国語力を形成している要素を下層から積みあげた形になっています。最終的には作文、つまり、書き言葉で考えたことを再び生活経験に活かし、精神的に豊かな生活を送ることまで含まれています。ピラミッドの上へ昇っていくと、土台になる生活体験が豊かになり、ピラミッド全体が大きくなることでその子の精神的活動の範囲が広がることを表しています。 この図を使うと、どうして同じように国語の勉強をしていても、その結果に差がつくのかが、わかりやすく説明できるようになります。同じように本を読み漁っていて、多くの漢字を知っていても、作文が上手に書けない子は第1層の生活経験が少ないのです。必ずしもどこかへ出かけたり、何かに取り組んだりした経験が少ないのではなく、その経験を心の中で自分の言葉で考えられているかどうかと点です。教育熱心な方は絵日記の題材として、いろいろなところへ出かけることが多いと思いますが、必ずしもそれが成果を生むとは限りません。日常の小さなできごと。例えば、友達と遊んだことやご飯を食べたことに対して、どれだけのことを思い・感じて、生活しているかこそが“必須条件”なのです。 生活経験のバランスが悪くて、作文がうまく書けないケース 作文を習ったことで国語の成績だけでなく、全教科の成績が上がるといった場合。ピラミッドの上層部が築けて、自分の生活体験と習った言葉を結びつけながら、どんどん言葉や文字で自分の体験を表現できるようになった状況を表します。 先に述べましたように、「点」が「線」に。さらに「面」「立体」へ変わっていく瞬間。自分はもちろん、周りの人に理解・納得してもらえるような表現能力の土台が出来つつあるわけです。 言葉にできていなかった体験を「文字」にする習慣で、社会や理科などで勉強していることまでもが、生活体験の一部として生き生きと感じられるようになる。そして、勉強が面白くなるといった好循環が起きるからです。 作文の書き方を習ったことで、国語力のバランスが良くなったケース 国語力をその構成要素からとらえましょう。何の要素のバランスが悪くて、国語力が伸びないのか―――この観点から対策をじっくり考えられるので、適切な国語の勉強のメニューを組めるのです。 また、各層の学習効果は単に積み上がるだけではなく、上の層を厚くすることが中間層の学習効果を高めることもあります。読解力が上がったのを原因に読書が好きになるとか、作文を書くことで読解力が上がるといった相乗効果はそれに当たります。言語活動は精神的な活動。上に持ちあがっていくエネルギーで、心身の充実が図られ、複眼的に思考・行動できるなどの有機的な育ち方へつながる部分があるのです。しかし、自分が知らない語彙を使って、作文を書くことはできません。国語力ピラミッドの基本は、あくまで積み上げ型である現実を忘れないでください。 自由が丘の塾 直井メソッド国語専門塾]]>