こんにちは。作文・読解プロコーチの直井明子です。
ある生徒さんから、
「問題集に掲載されている問題文が、反社会的な内容なのはどうなのか?」
という内容の質問をいただきました。
「読んでいて不快な文なら、やらなくて良い。」
というのが、私の答えです。
その文章は、小学生の男の子が申し分のない家庭環境へのちょっとした不満から、ストリートチュルドレンの仲間入りをするというものでした。半分、ファンタジーのような脚色になっているストーリーの一部です。流されて道をはずれて、新しい生活が始まるというシチュエーションの中に、日常的な価値観への疑問が隠されています。
そうやって、ありえない場面を仮想体験して、日常的な価値を疑ってみるのも一つの思考実験です。けれども、そうした思考実験の中には、あまり生産的ではないものもあります。その生徒さんは、その物語文の中に、そんな空気を感じ取ったのではないでしょうか。
どんなに「名作」と言われる文であっても、すべてを受け入れたり、読む必要はありません。物語文は、場面に没入するために、精神的な影響を強く受けてしまうからです。自分が負の影響を受ける、あるいは、まだそうした文章に表れている価値観を消化できないと感じるなら、「読まない」ということも自分を守るための方法です。
入試問題に限って言えば、反社会的な価値観を含むような物語文はまず採用していないので、問題集の内容で悩む必要はないのです。
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