「抜き書き」で表現力を鍛える

抜き書きがあります。暗唱が耳と口を使う方法だとすると、抜き書きは目と手を使って覚えるやり方です。小学生のうちは前者が得意なはずですが、人によっては得意な記憶のタイプは違うので、書いて覚えることに興味があるようなら、抜き書きをやってみてください。 文章を書いて覚える時には、全部の文章を書き写すことはやりません。書く作業の負担自体が大きいので、それでは書き写すだけの単純作業になってしまいます。そのため、「ここは表現として面白いな」と感じたところだけを、作文用紙に書き写すようにしてもらっています。そのため、このトレーニングを書写ではなく、「抜き書き」と呼んでいます。作文用紙に書いていくのは、それを作文のお手本として体感するためです。 例えば、作文が長く上手に書けるようになってくると、会話文のまわりの表現などに工夫が必要になってきます。毎回、「わたしは『○○○』と言いました」という事実だけを述べた言い回しでは、表現としてはつまらなくなります。物語文の読解では気持ちを表す文として、また、その言葉の他に会話や動作、情景描写を取りあげました。これと同じことを、お手本を見ながら、作文でもまねして行うようにするのです。  書き写して覚えても良いし、その横に少し変えた文を考えて書くようにするのも効果的な方法です。 文章を書くことは頭と心を使う創造的で自発的な作業なので、これという上達法を教えたら、あとは本人の工夫に任せることも大事です。文章がつたないとついつい親が口出しをしたくなります。「ある程度書けるようになったら、それはやめてください」とお願いしています。 子どもが絵を描いているときには口を出さないのに、作文だと口を出して良いと思っていたら間違いです。絵を描いて、それが下手だと注意されたら、次からやる気がわくでしょうか。大人が、自分がやられて嫌だと思うようなことは、子どもにだって嫌なのです。文章を書くことの目的はコミュニケーション。その基本が、良い人間関係にあることを忘れないようにして欲しいと思います。 こうして自主性を尊重して作文を練習していると、そのうち口出しが必要ないぐらい上手になってきます。   自由が丘の塾 直井メソッド国語専門塾]]>

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